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第180話
秋哉を喜ばせたい。
そう思って考えて、思い付いたのが俺から誘うこと。
でもどうやって誘っていいのか分からない。
分からないまま、俺は秋哉をベッドに突き飛ばした。
さすがの秋哉もそれには驚いていた。
とりあえず秋哉の上に乗っかってみる。
でもやっぱりどうしていいか分からないから、いつも秋哉がやってるみたいにしてみた。
唇にキスをして、首筋から鎖骨に唇を這わせる。
これで合ってるのかな?
そう思いながらやってると、秋哉に止められた。
『緋桜が無理してるなら俺は嬉しくないよ』
そう言う秋哉の顔が、少し怒ってる風にも見えた。
やっぱり俺のやり方が間違ってたのかな。
秋哉に少しでも喜んで貰えたらと思ってた。
どうしたら秋哉に喜んで貰えるんだろう。
『俺を喜ばせたいなら、いつも通りでいいんだよ』
秋哉はそう言う。
いつも通りって何なんだろう。
いつも通りって何したらいい?
そう思っていると秋哉はクスッと笑う。
『一緒にいて、いろんな事をして、いろんな話をして、それだけで俺は嬉しいから』
そう言って秋哉は俺を抱き締めてくる。
そんな事でいいのか?
よく分からないけど、何故か涙が出た。
「でも」
そう声がして、視界がグルッと回った。
気付いたら俺の下に居たはずの秋哉が今度は上にいる。
俺は何が起きたのか分からなかった。
「折角緋桜が誘ってくれたんだから、それには答えないとね」
そう言って秋哉は笑った。
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