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第192話

お昼を食べようと入ったのはイタリアンレストラン。 本当はその辺のハンバーガーショップにでもと思ってたけど、昼時っていうのもあって、どこも満員だった。 秋哉の提案で近くにあったイタリアンレストランに行くことになった。 秋哉曰く、ここの店は比較的リーズナブルで気兼ねせずに入れる店らしい。 ただ、千円以下のメニューが無いっていうのはリーズナブルって言うのかどうか… メニュー表にはよく分からない料理名が並んでるし、ここは俺にはオシャレ過ぎて緊張する。 秋哉を見ると、何も気にしてないように見える。 やっぱり感覚の差なのかな。 しばらくすると店のスタッフがメニューを聞きに来る。 「緋桜は決まった?」 秋哉にそう聞かれて、自分が何にするか決めてないのに気付いて焦る。 「……秋哉、と一緒のでいい」 結局決めれなくて秋哉と同じものを頼んだ。 秋哉がメニューを頼む。 ただそれだけなのに、その姿がすごい様になってて、格好いいと思った。 「…どうかした?」 頼み終えた秋哉がそう言って俺を見る。 俺は自分が秋哉の事をじっと見てたことに気付いて視線を逸らす。 「……何でもない」 そう俯き気味に答えた。 しばらくすると注文した料理が運ばれてくる。 料理は綺麗に盛り付けられていて、正直どこから手をつけていいのか分からない。 そんな俺を見てか、秋哉がクスクスと笑う。 「そんなに難しく考えなくていいよ」 そう言うと秋哉はフォークを手に取って普通に食べ始めた。 俺もそれに習って食べてみる。 「……おいしい」 「良かった」 そう言って秋哉はニッコリ笑った。 お昼を食べ終えて俺たちはまた街中を歩く。 お昼を食べた店も正直緊張した 。 街中を歩く時でも人が多いからぶつからないように周りに気を配りながら歩く。 慣れてないせいなのかな、ちょっと疲れた。 そう思ったら、ため息が漏れた。 「緋桜、疲れた?」 そう言って秋哉が俺を覗き込んでくる。 俺はそれにびっくりして思わず後退ってしまった。 秋哉はそんな俺を見てクスッと笑う。 「どこかで休憩する?」 そう聞かれてどう答えようか迷った。 本当はもう少し人の少ない所に行きたい。 でも、まだお店とかもまともに見れてないし、休んでばっかだと秋哉がつまらない。 「……大丈夫」 結局そう答えた。 チラッと秋哉を見ると、何か考えてるみたいだった。 「緋桜、ちょっとこっち来て」 そう言って秋哉は俺の手を引く。 「どこ行くんだ?」 俺がそう聞くと、 「いいとこ」 そう言って秋哉は笑うだけだった。 俺は秋哉に引かれるがまま歩く。 10分くらい歩いて、たどり着いたのは小さい公園だった。 俺は周りを見渡す。 小さい公園だから人は殆ど居ない。 どうして秋哉がここに来たのか分からないけど…… ここ…人が居なくて落ち着く。 そう思って、俺はホッと息を吐いた。

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