197 / 452

第194話

俺たちは公園でしばらく時間を過ごした。 座ってただ他愛もない話をする。 でも秋哉は買い物とかしなくて良かったのかなと思う。 昨日あれだけ雑誌を見ながらここ行こうとか話したのに、殆ど行けてない。 そう思ってると急に頬をムニッと摘ままれた。 「ま~た何か考えてるでしょ?」 そう言って秋哉は俺の頬をムニムニと弄る。 何で分かったんだろう。 そう思ってると、秋哉はクスクスと笑いだす。 「緋桜って意外に思ったこと顔に出るよね」 そう言って笑う秋哉に、俺は頭の中に?マークを浮かべる。 「ほら、今は意味が分かってないでしょ?」 秋哉に思ってることを言い当てられる。 そんなに考えていることが顔にでるのか? そう思って顔に触れてみるけど、やっぱり自分では分からない。 ……俺には秋哉の思ってること分からないのに。 そう思ってると秋哉が吹き出した。 「そんなにむくれないでよ」 ククッと笑いながらそう言って秋哉は俺の頬をつつく。 「……秋哉ばっかり狡い」 俺ばかり見抜かれてるみたいだ。 俺はそれがちょっとだけ悔しかった。 そんなやり取りをしてると、いつの間にか時間が経ってて空が赤らんでくる。 「そろそろ行こうか」 そう言って秋哉は立ち上がると俺に手を差し伸べてきた。 俺は頷くと、その手を取った。 街中に戻ると夕方だからなのか、昼間より人が少なくなっていた。 「ねぇ緋桜、もう一ヶ所だけ依ってって良いかな?」 そう言う秋哉に、俺は軽く頷いた。

ともだちにシェアしよう!