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第195話

(秋哉side) 緋桜は思ってることがよく顔に出る。 顔と言うより目、かな。 緋桜は人を気にするから、よく目が動く。 本人は無意識みたいだけど、あれじゃ人より疲れるなと思う。この人混みじゃ特に。 緋桜がため息を漏らしたから『疲れた?』って聞くと『大丈夫』と返ってきた。 ただその目は光を失っていて、何か我慢してるんだなと分かった。 俺の事を気にかけてくれてるのは分かるけど… 俺は少し周りに目を向ける。 ここは緋桜には人が多すぎるか… この近くで人が少ないとこ… そう思って考えていると、近くに公園があることを思い出した。 引っ張って行くと、緋桜は『なんでこんな所に』とでも言うような目で周りを見回す。 ベンチに座るように言って、飲み物を買いに行く。 その途中で緋桜を見ると、目を閉じている。 少しは気が休まったかな。 飲み物を買って戻ると、緋桜はまた難しい顔をしていた。 多分、俺に気を使わせたとか考えてるんだろうな。 本当、人の事よりもっと自分のこと考えていいのに。 そう思うと苦笑に近い笑みが溢れた。 緋桜は前に比べてよく表情が変わるようになった。 嬉しい時や楽しい時、怒ってる時も分かるようになってきた。 でも俺が見たい顔は、まだ見れてないんだよな。

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