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第199話
家に帰ると、佐々木さんが用意してくれてたご飯を食べてお風呂に入る。
湯船に浸かってると睡魔が襲ってきた。
疲れてる自覚はあったけど、自分が思ったよりも疲れてたんだなと思う。
ボーッとしてると寝ていきそうだと思って、俺はさっさと洗ってお風呂を出た。
「…秋哉、あがった」
お風呂からあがるとソファに座って本を読んでる秋哉に声を掛ける。
「早かったね」
そう言うと、秋哉はじっと見てきた。
その後、ちょいちょいと手招きされる。
俺はなんだろうと思いながら秋哉に近付いた。
「ちょっとここ座って」
そう言って示されたのはソファじゃなくて、その前の床。
俺は指示された通り床に座ると、秋哉はちょっと待っててと言ってどこかに行ってしまった。
俺は訳が分からないまま、言われた通りに秋哉を待った。
ちょっとして戻ってきた秋哉の手にはドライヤーがあって、それをコンセントに繋ぐとよいしょと言って俺の後ろのソファに座る。
俺は自然と秋哉の股の間に座る形になった。
……これはどういう状況なんだろう。
「…秋哉、これって……」
「前向いて、動かないで」
何をするのか聞こうと思って秋哉を見ると、秋哉にそう言われて前を向かされる。
「髪乾かしてあげる」
そう言って秋哉はドライヤーの電源を入れる。
「いい!自分で乾かせるから!」
そう言って俺が秋哉からドライヤーを取ろうとすると、また前を向かされた。
「俺がやりたいの!」
『だからじっとしてて!』と言われる。
押さえられてて動けないし、秋哉を見るとどうしてもやりたいと言うような顔をしてる。
俺は諦めて、秋哉に任せることにした。
「……じゃあ、任せる」
そう言うと、秋哉はパァと嬉しそうな顔をした。
そういえば、こうやって誰かに髪を乾かしてもらうの初めてだ。
秋哉は嬉しそうにワサワサと俺の髪を乾かす。
……誰かに頭触られるのってこんなに気持ち良かったんだ。
そう思って、俺は目を閉じた。
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