204 / 452

第201話

ふと目を開ける。 まだ頭がはっきりしなくて、状況がつかめない。 天井を見上げながらボーッと考えていると、段々と昨日の事を思い出してくる。 確か昨日は秋哉に髪を乾かしてもらってる最中に寝ちゃったんだ。 ベッドに寝てるってことは、秋哉が運んでくれたのかな。 ……秋哉は? そう思って体を少し動かすと横に別の体温を感じる。 見ると秋哉が寝息をたてていた。 普段と変わらない、いつもの秋哉だ。 秋哉の寝顔を見て、ふと昨日の事を思い出す。 普段と違う秋哉を見たからって、どうしてあんなに寂しくなったんだろう。 秋哉はいつだって、俺の側に居てくれるのに。 秋哉を遠くに感じるなんて。 そう思って俺は、秋哉に手を伸ばした。 秋哉に手を伸ばすと、一瞬違和感を感じた。 見ると自分の手に見慣れない物がある。 …これって。 俺は自分の手を引き寄せて、それをマジマジと見た。 左手の薬指につけられた指輪。 ちょっと太めのシンプルなシルバーの土台に青い石がついている。 俺は眠っている秋哉の顔を見た。 左手の薬指につけられた指輪の意味なんて、誰にでも分かる。 これを秋哉がつけたことも分かる。 この指輪の本当の意味も……… そう思うと、涙が出た。

ともだちにシェアしよう!