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第201話
ふと目を開ける。
まだ頭がはっきりしなくて、状況がつかめない。
天井を見上げながらボーッと考えていると、段々と昨日の事を思い出してくる。
確か昨日は秋哉に髪を乾かしてもらってる最中に寝ちゃったんだ。
ベッドに寝てるってことは、秋哉が運んでくれたのかな。
……秋哉は?
そう思って体を少し動かすと横に別の体温を感じる。
見ると秋哉が寝息をたてていた。
普段と変わらない、いつもの秋哉だ。
秋哉の寝顔を見て、ふと昨日の事を思い出す。
普段と違う秋哉を見たからって、どうしてあんなに寂しくなったんだろう。
秋哉はいつだって、俺の側に居てくれるのに。
秋哉を遠くに感じるなんて。
そう思って俺は、秋哉に手を伸ばした。
秋哉に手を伸ばすと、一瞬違和感を感じた。
見ると自分の手に見慣れない物がある。
…これって。
俺は自分の手を引き寄せて、それをマジマジと見た。
左手の薬指につけられた指輪。
ちょっと太めのシンプルなシルバーの土台に青い石がついている。
俺は眠っている秋哉の顔を見た。
左手の薬指につけられた指輪の意味なんて、誰にでも分かる。
これを秋哉がつけたことも分かる。
この指輪の本当の意味も………
そう思うと、涙が出た。
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