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第203話

(秋哉side) 「なんか色々話題になってんぞ」 授業が終わって、生徒会室にいた俺たちに佐倉先輩がニヤニヤしながらそう言ってくる。 「今日の中村くんは色っぽいとか女子が騒いでましたね」 と日向先輩が付け足す。 結論から言うと、緋桜の目の腫れは引かなかった。 というより若干は引いたけど、まだ少し目元に赤みが残っていて、それが愁いを帯びて色っぽいとか言って女子が騒いでた。 こんなことなら休ませれば良かったと少し後悔してる。 現に今でも宮藤先輩が何があったと緋桜に詰めよっていた。 「で、今度は何したんだ?」 そう聞いてくる佐倉先輩に、俺は返答に困った。 別に何かした訳じゃないけど…… いや、あれはしたことになるのか? 「まぁ、だいたい想像つくけどな」 そう言う先輩を見ると、先輩は自分の首もとを指でトントンと叩く。 「あれ、お前が贈ったんだろ?」 そう言いながら先輩は緋桜に視線を向けた。 今、緋桜の首には俺が贈った指輪がチェーンに通されてぶら下がっている。 学校に行くとき、緋桜が指輪をしていくって言って聞かなかったから俺がペンダントにして首につけてあげた。 当然学校ではアクセサリー類は禁止だから本当は駄目なんだけど、指にするよりはペンダントにした方が目立たないんじゃないかと思った。 まぁ、それでも緋桜は若干不服そうだったけど。 ペンダントは制服で隠れていてチラッとしか見えてないのにそれに気付く先輩は目敏いというか何と言うか……… 「指輪についてる石って何?」 そう聞いてくる先輩に若干嫌な予感がする。 「……ブルーダイヤ」 渋々そう答えると先輩は『へぇ~』と言いながらニヤッと笑った。 「"永遠の愛"なんて、秋哉は意外と乙女チックなんだな」 「……先輩のそういうとこ嫌いです」 そう言って睨んでみるけど、先輩には全く効かなかった。

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