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第204話
(秋哉side)
「……ていうか、何で石の意味知ってるんですか?」
「翠がそういうの好きなんだよ」
小さい頃からよく聞かされたと佐倉先輩は言う。
……こんな近くに適任者がいたのか。
そう思って、俺は落胆した。
俺は指輪を作るときに、石に意味があることを知って店の人に色々相談した。
"永遠の愛"なんて意味の石、恋人に贈る以外考えられないし、当然店の人には『彼女さんにですか?』と聞かれた。
確かに恋人に贈る物だけど、オーダーしたデザインはメンズ用。
面と向かっては聞かれなかったけど、店の人も色々勘繰ってたみたいだった。
俺は緋桜と付き合ってることを恥じたりはしないし、隠すつもりもない。
たまたま俺の周りには男同士ということに理解がある人ばかりだけど、世間では男同士に不快感を感じる人たちがいるのも知ってる。
実際、俺も緋桜と出会うまでは男相手なんて考えられなかった。
まぁ周りからなんて言われようと俺には関係ないし、それで何かを変えるつもりもないけど、勘繰られたりするのはやっぱりいい気はしない。
宮藤先輩がそういうのに詳しいってもっと早く分かってれば、先輩に相談したんだけどな。
あ、でも宮藤先輩に相談すると自動的に佐倉先輩と日向先輩に伝わる。
からかわれるのは必然。
それはちょっと迷うとこではあるな。
「まぁでも、泣いて喜んでくれたなら良かったんじゃないか」
そんな事を考えていると、佐倉先輩が緋桜たちを見ながらそう言う。
俺もそれに釣られて緋桜たちを見た。
緋桜は宮藤先輩に迫られてシドロモドロになりながら指輪の事を説明してる。
それを聞いた宮藤先輩がキャーキャーと騒いでた。
対応に困ってはいるけど、緋桜は楽しそうだ。
その様子を見てフッと笑みが溢れる。
「……そうですね」
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