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第212話

秋哉に『場所分かる?』って聞かれた時、すぐ頭の中に浮かんだ。 3ブロックに別れてる中央のブロック。 手前から20列目の左から15。 行くつもり無かったけど、すぐに覚えた。 拓真が眠る場所。 俺はゆっくりとその場所に向かった。 拓真のお墓が近付くにつれて、また『本当に行ってもいいのか』という考えが頭を過る。 でも何故が、進む足は止まらなかった。 1、2、3……… 俺は並ぶ墓石を数えながら歩いく。 13、14、15。 左から15…… ……ここだ。 俺は墓石を前に目を閉じて、ゆっくりと息を吐く。 目を開けて、墓石を見た。 墓石には『TAKUMA SAEKI』と名前が掘られていた。 俺はそれを見た瞬間、涙が出た。 嬉しいのか、悲しいのか分からない。 不思議な気持ち。 もしここに来られたら、真っ先に謝ろうと思ってた。 『死なせてしまってごめん』 『未来を奪ってごめん』 でも拓真のお墓を前にしたら、そんな言葉は出てこなかった。 拓真のお墓を見た瞬間、生前の拓真の姿が頭に浮かんだ。 俺の記憶の中の拓真は全部笑っている。 どうして忘れてたんだろう。 拓真は俺の前ではずっと笑顔だったのに。

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