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第216話 あやふやになってたこと
俺たちは放課後、いつも通り生徒会の仕事をしていた。
「…先輩、ここ違います」
俺は佐倉先輩が作った書類の誤字を見つけて報告する。
「あぁ、悪い悪い」
そう言って佐倉先輩はヘラッと笑って片手を挙げてヒラヒラさせる。
「蒼、最近誤字脱字が多いわよ!」
『副会長なんだから気を付けなさいよ!』と宮藤先輩が佐倉先輩に注意する。
俺が生徒会に入ってしばらくたつ。
だいぶ慣れてきて、書類のチェックとかパソコンを使ってデータの入力など出来る仕事が増えてきた。
でも出来る仕事が増えたっていっても、まだまだ分からない事だらけだから先輩たちにフォローしてもらってばかりで申し訳ない。
最初は不本意だったけど、任されたからにはしっかりやりたいと思う。
そんな事を思ってると、どこからかピコンと音が聞こえてくる。
音の方を見ると、秋哉が携帯を取り出して何か確認してた。
「緋桜」
携帯を確認してた秋哉が徐に俺を呼ぶ。
「なに?」
そう言って秋哉に近付く。
「佐々木が今日は迎えどうするかって聞いてきたんだけど」
「俺はどちらでも……秋哉が決めていい」
俺がそう言うと、秋哉は考える。
「……でも、いつも迎えに来てもらうのは悪い気がする」
そう言うと秋哉はクスッと笑う。
「そうだな。じゃあ今日は歩いて帰ろうか」
俺はそう言う秋哉に頷いた。
「……なぁ中村って、今は家どうなってるんだ?」
俺たちのやり取りを聞いてた佐倉先輩がそう聞いてきた。
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