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第218話

(秋哉side) 俺たちは家に帰ると一緒に暮らすことを佐々木に伝えた。 まぁ今までと変わらないから、そう驚くような話でもない。 「完全に一緒に暮らすのであれば、緋桜くんの借りてる部屋を解約しなきゃいけないですね」 佐々木にそう言われて、確かにそうだと思う。 そこで暮らさないのであれば、あの部屋を借りてる意味がなくなる。 「緋桜、あの部屋解約してもいいの?」 そう聞くと、緋桜の顔が曇った。 「……緋桜くん、あの部屋の名義は誰になってるの?」 佐々木が緋桜にそう聞いてハッとした。 「………親、です」 そう言って緋桜は俯いてしまった。 そんな緋桜を見て、俺と佐々木は顔を見合わせた。 未成年の緋桜が部屋を借りるには保護者の承諾がいる訳で、当然その名義も親になる。 解約するとなると、基本その名義本人が行わなければいけない。 そうなると必然的に緋桜は親と話さなければいけなくなる。 緋桜は親の話をあまりしない。 俺もよくは知らないけど、親とも何か蟠りがあるんだろう。 高校で家を出るくらいだからよっぽどの事なのか。 深夜、俺は緋桜が寝たのを確認すると佐々木と話をするために佐々木の部屋にいた。 「で、どうするつもりなんだ?」 そう佐々木に聞かれて、俺は悩む。 「……どうしよう」 正直、これも緋桜次第。 まさかここで緋桜の親の問題にぶち当たるとは思わなかった。 緋桜と話そうにも、緋桜が俺に親のことを言わないってことは、まだそれに触れてはほしくないってことだ。 「………待つしかないかなぁ」 実際のところ、そう焦ることでもないのかもしれない。 あの部屋だって急いで解約しなきゃいけないわけじゃないし、今は緋桜はこの家に居るわけだし。 そう思って俺はソファの背凭れに凭れると、天井を見上げた。 ………緋桜の親、か。

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