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第219話
いつかはぶつかる問題だと思ってた。
何とかしなきゃとも思ってたけど、ズルズルと先延ばしにしてた。
俺はベッドから体を起こすと、誰も居ないそこに視線を向ける。
俺が目を閉じたのを確認してから秋哉は部屋を出た。
多分佐々木さんのところ。
……秋哉にも話さなきゃ。
そう思って俺は小さくため息をついた。
その瞬間、カチャとドアの開く音がして思わず体が揺れる。
ドアの方を見ると秋哉がいて、俺と目が合うと驚いた顔をした。
「……ごめん、起こしちゃった?」
秋哉は少し困ったように笑ってそう言う。
俺は小さく首を振った。
秋哉はそれに『そう』と返しながらベッドに座る。
「……聞かないのか?」
「え?」
「………親のこと」
自分から話を振ったくせに、秋哉の顔が見れなかった。
俯いていると、秋哉からクスッと笑い声が聞こえる。
「聞いたら、話してくれるの?」
そう言われて俺は言葉に詰まった。
隠してる訳じゃない。
でも今はまだ………
そう思ってると急に頭を引き寄せられる。
気付いたら俺は秋哉の肩に顔を埋めていた。
「大丈夫」
そう言って秋哉は俺の頭を引き寄せた手でポンポンと頭を撫でる。
「緋桜の話したい時でいいよ」
秋哉は『待ってるから』と言って笑った。
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