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第220話

(秋哉side) あれから数日、緋桜から親の話は出てこなかった。 緋桜も悩んでるみたいで、少し鬱ぎがちになってる。 今のところ様子見だけど、ちょっと心配になってくる。 「なぁ秋哉、なんか中村元気ないように見えるんだけど…」 生徒会の仕事中、佐倉先輩がそう聞いてくる。 「…あぁ、実は…」 俺は先輩に緋桜のことを話した。 「……もしかして俺のせいか?」 『余計なことして悪い』と先輩は言う。 確かに切っ掛けは先輩の一言だったけど、多分遅かれ早かれぶち当たる問題だった。 「先輩のせいじゃないので大丈夫ですよ」 笑ってそう言うと、先輩は少しホッとした表情を見せた。 「何かあったら言えよ。出来る限り力にはなるからな」 そう言って先輩はポンと俺の肩に手を置いた。 そういえば、先輩たちに緋桜のことを相談する事が多くなったな。 前は俺が何とかするって思ってたけど、今はそうじゃない。 頼ることも大事だって分かった。 緋桜だって先輩たちと一緒にいて、ぎこちなくではあるけど少しづつ笑うようになってきた。 今でも緋桜は先輩たちと話してて時折笑ってる。 俺はそれを見て少しホッとした。 こういう時は先輩たちが居てくれて良かったと思う。 本当、頼りになる先輩たちだな。

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