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第224話
「……緋桜、そのままじゃ何にもならないよ?」
「…いや、それは分かってるんだけど……」
俺が秋哉に火事の事を話してから一週間ほど経って、犯人が捕まったと佐々木さんから聞いた。
犯人は50代の男の人。
俺とは面識のない人だった。
俺のせいで会社をクビになったって言ってるみたいだけど、流石にそう言われても…って感じ。
前の俺だったら、それも自分のせいにしてたんだろうな。
その後は警察の事情聴取とかで話を聞かれたけど上手く話せなくて、秋哉や佐々木さんにフォローしてもらった。
その時の刑事さんは秋哉たちの知り合いみたいで、色々と気にかけてくれた。
秋哉は以外に顔が広いと思う。
いや、この場合は佐々木さんの顔が広いのか?
で、それもようやく落ち着いて今に至る。
俺は親に連絡を取るために携帯を開いて親の番号を出す。
後は通話ボタンを押せば良いだけなんだけど、俺はそのボタンが押せずに既に20分以上経っていた。
「…緋桜」
秋哉が呆れたような顔で見てくる。
「……分かってるんだけど」
正直、何をどう話せばいいのか分からない。
俺、前はどんな風に話してた?
そんな事を考えてると、いきなり携帯が鳴った。
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