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第225話

(秋哉side) 火事の犯人が捕まってしばらくはバタバタしてたけど、それもようやく落ち着いて、緋桜が親に連絡を取ると言った。 緋桜が側に居てほしいと言ってきたから、こうして横に居るんだけど。 連絡を取ると言った緋桜はかれこれ20分以上は携帯とにらめっこしていた。 「緋桜、それじゃ何時まで経っても話出来ないよ?」 そう言うと、緋桜は『分かってるけど』と言って俯いてしまう。 そんな時、緋桜の携帯がいきなり鳴った。 その音に緋桜の体が跳ねる。 携帯の画面を見た緋桜の顔が一瞬で引きつった。 「緋桜、誰から?」 緋桜に連絡してくる人は限られてる。 消去法でいけばおそらく……… 「……母さん」 緋桜は鳴る携帯を眺めてるだけで動こうとしない。 「出ないの?」 そう言うと緋桜は黙ってしまう。 「緋桜、この電話に出れなかったら、緋桜から掛けることも出来なくなるんじゃない?」 緋桜が自分から電話をするって決めたは良いけど、結局は掛ける事が出来なかった。 だったら、相手から掛かってきた今の方が緋桜に取っては幾分か気が楽なんじゃないかと思った。 緋桜は未だ携帯を眺めてる。 「緋桜」 名前を呼んで促すと緋桜は覚悟を決めたのか、一回深呼吸をして通話ボタンを押した。 俺は親と話す緋桜を横で見守っていた。 緋桜の緊張が手に取るように分かる。 話す声も震えていて、話し方もぎこちない。 それにこれは多分無意識。 緋桜は話してる間、ずっと俺の手を握っていた。

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