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第226話
(秋哉side)
緋桜はお母さんと5分くらい話して電話を切った瞬間、大きなため息を吐いて項垂れてしまった。
「……緋桜、大丈夫?」
「……一度、帰ることに…なった」
「え?」
「……ど、しよ」
そう言って緋桜は俺をすがるように見てくる。
その目は若干涙ぐんでる。
実家に帰る。
ただそれだけなのに、緋桜に取っては『実家に帰る』というのはそれ相応の覚悟がいる。
「緋桜、一度帰ってちゃんと話をした方がいい」
「……でも」
緋桜は俯いてしまう。
「大丈夫、さっきだってお母さんと話せたでしょ?」
「……さっきは、電話、だったし」
確かに電話と顔を会わせて話すのとは違う。
緋桜に取っては顔を会わせる方が負担になるか……
どうしたらいいかな。
そんな事を考えてると、緋桜が軽く服を引っ張る。
「……秋哉も、一緒に……」
「え?」
「……秋哉も一緒に、だったら…大丈夫」
緋桜の実家に俺が一緒に行くのもなんか変だけど……
色々話したいこともあるし。
「いいよ、一緒に行こう」
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