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第235話

「家まではどうやって帰るの?電車?」 母さんが秋哉に聞く。 「迎えが来ます。電車は緋桜が苦手なので」 「あら、そうなの?」 夜に秋哉が俺たちの事を母さんに話したらしい。 母さんが俺たちの事をどう思ってるのか不安だったけど、二人とも普通に会話してる。 寧ろ何か仲良くなってる? 「ねぇ緋桜」 そんな事をボーっと考えてると秋哉と話してた筈の母さんがいつの間にか俺の所にいて、驚いて体が跳ねる。 「…な、なに?」 「秋哉くんってどんな子なの?ご両親は何をしてる人なの?」 そう聞いてくる。 母さんの話では、迎えに来る人が(まぁ佐々木さんなんだけど)親でもなければ兄弟でもないって聞いて疑問に思ったらしい。 佐々木さんが秋哉の側にいるのは、俺にはもう当たり前の事だったから、母さんに聞かれて他の人からしてみたら疑問に思うのか。 「……そういえば俺、秋哉の両親が何してるのか知らない」 一度疑問に思ったことはあるけど、秋哉からも両親の話は出ないから聞くタイミングを逃してた。 「あ、でも、佐々木さんもいい人だよ。俺もすごくお世話になってる」 「そうなの?」 『じゃあ挨拶しなきゃ』と母さんは何故か楽しそうに言った。 しばらくして、佐々木さんが到着したと秋哉の携帯に連絡があった。 俺と秋哉も準備をして外に出た。 母さんと佐々木さんは顔を会わせると、お互いに挨拶をする。 その後しばらく二人で話してた。 「なに?」 突然、秋哉がそう聞いてくる。 「え?」 「ずっと見てたでしょ?」 秋哉にそう言われて、俺は自分がずっと秋哉を見てた事に気付く。 「な、何でもない」 そう言って顔を逸らせた。 さっき母さんが言ってたことが気になってた。 秋哉の両親ってどんな人たちなんだろう。 どうして秋哉はあんな大きい家に佐々木さんと二人で住んでるんだろう。 考えてみたら俺、秋哉の事何にも知らないんだな。 そう思ったら、少し寂しかった。

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