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第242話
(秋哉side)
目を覚ました緋桜は、昨日の事が曖昧になってるみたいだった。
聞いてみてもやっぱり覚えてないらしい。
まぁ昨日一回起きた時も、寝惚けてたみたいだったから無理もないかもしれない。
緋桜が最後に覚えてるのはゆかりさんからのメール。
多分、俺のとこにきたメールと同じ内容。
そう思って俺はゆかりさんからのメールを緋桜に見せてみた。
「……何か思い出した?」
そう聞くと、緋桜は小さく頷いた。
「過呼吸の原因、ゆかりさんのメール?」
「……分からない。母さんからのメール見たとき、急に不安になって……」
「…どうして?」
そう聞くと、緋桜は考え込んでしまった。
「……なんか、本当にここに住むって実感したら……急に不安になって……」
緋桜はそうポツポツと話す。
それを聞いて、俺はため息をついた。
「…緋桜はここに住むのは嫌?」
そう聞くと、緋桜は勢い良く首を振った。
「そんな訳ない!」
そう言って俺に掴み掛かってくる。
その後、緋桜はハッとして直ぐに離れた。
「……ごめん」
これはいつもの緋桜だ。
ちょっとビックリした。
今まで緋桜が声を荒げるなんてなかったから。
ここまで感情を表に出すなんてしなかったから。
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