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第246話

(秋哉side) 「意外と早く片付きましたね」 「てか荷物少なすぎだろ」 俺の言葉に佐倉先輩がそう返す。 緋桜の部屋は5人で片付けたら終わるまで三時間も掛からなかった。 もともと物が少ないって言うのもあるし、緋桜が部屋を殆ど汚してないってのもあった。 まぁよく考えてみたら、緋桜は殆ど俺のとこに居たからここには帰ってきてない。 汚れてないのは当たり前か。 思いの外時間が空いて、これからどうするという話になった。 「お腹空いたし、昼ごはんでも食べに行くか?」 そう佐倉先輩が言い出す。 「この辺って何か食べるとこあったかな?」 と日向先輩が携帯で店を調べ始めた。 「…ここで作ればいいんじゃない?」 そう言う宮藤先輩に、皆の視線が集まった。 「……お前、怖いこと言うなよ」 佐倉先輩がすごく嫌そうな顔で言う。 「翠、早まっちゃ駄目だよ」 と日向先輩が珍しく慌てる。 俺と緋桜はその様子に顔を見合わせた。 「宮藤先輩って料理ダメなんですか?」 「…壊滅的だ」 そう聞く俺に佐倉先輩が言う。 「……あれは人の食べ物じゃない」 と日向先輩がボソッと呟く。 ……この二人にここまで言わせる宮藤先輩の料理ってどんななんだろ。 それを聞くのは、ちょっと怖かった。 「私そんなにひどくないよ!?」 「そう思ってるの翠だけだから!」 「翠、お願いだから大人しくしてて」 と渋る宮藤先輩を二人が必死に止める。 「じゃあ作れる人いないじゃん」 「普通に外に食べに行けばいいだろ」 と言い合う。 その時ふと思った。 「緋桜って料理出来るんじゃない?」 よく佐々木の手伝いしてるし。 俺がそう言うと、3人の視線が一気に緋桜に向いた。 「中村って料理出来るの!?」 佐倉先輩がそう言って緋桜に迫る。 「中村くん、出来るんですか?」 と日向先輩まで緋桜に詰め寄る。 二人ともすごい必死だな。 そんなに宮藤先輩に料理をさせたくないのか? 二人に迫られて流石に怖くなったのか、緋桜は俺の後ろに隠れてしまった。 「二人して緋桜に迫らないで下さい」 俺がそう言うと二人は大人しくなって緋桜に謝った。 俺はそんな二人を見て、ため息をついた。 「緋桜、作れる?」 そう聞くと緋桜は考え込む。 「……あまり作ったことないけど」

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