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第250話
俺は今、これまでに無いくらい緊張していた。
今までで一番緊張してるかもしれない。
それは、初めて俺が作った料理を人に食べてもらうから 。
メニューは作り方を調べてるときにネットで見つけた『ふわトロオムライス』
作り方はチキンライスの上にオムレツを割ってのせる。
オムレツは初めて作るけど、佐々木さんや母さんが作ってるのを何回か見たことがあった。
チキンライスを卵で包むのは難しそうだったからこっちにしてみた。
それにオニオンスープも付けてみた。
秋哉に味見してもらったら大丈夫って言ってたけど……
オムライスを前にした先輩たちからは何のリアクションも無かった。
オムライスってリクエストだったからこれにしたけど、もしかして違ったのかな。
そう思ってると、佐倉先輩がため息をついた。
……やっぱり間違ってたんだ。
「……すいません、こんなのしか作れなくて」
そう言うと、佐倉先輩は驚いた顔をする。
「え!?」
「楽しみにしてくれてたのに、期待に応えられなくてすいません」
俺がそう言うと、佐倉先輩が何故か慌て出す。
「いやいや、ちょっと待て!?なに言ってんの!?」
「…え……期待してたものと、違うんですよね?」
『だからがっかりしたんじゃ』と俺が言うと、先輩はまたため息をついた。
「バーカ!期待してた以上のものが出てきたから驚いてんだよ」
「…え?」
「お前、これ相当すごいぞ?これで作るの初めてってウソだろ」
「そうだよ!すごいよ、私こんなの作れないもん」
横から宮藤先輩が身を乗り出し気味に言う。
「いや、翠と比べたらダメだろ」
佐倉先輩がハッと笑いながら言うと、宮藤先輩がムッとする。
「何よ、私だって練習すれば出来るもん!」
「止めとけ、食材の無駄だから」
「はいはい、そこまでにしとこ?」
言い争う佐倉先輩と宮藤先輩を日向先輩が止めた。
俺はこの状況がいまいち分からなくて、秋哉を見た。
「だから大丈夫だって言っただろ」
そう言って秋哉はニコッと笑った。
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