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第253話

一瞬、何が起きたのか分からなかった。 気付いたら、秋哉が上に乗っかってた。 『今日が初夜ってことだよね?』 秋哉がそう言う。 「……しょ、や?」 「そう、初夜」 秋哉はそう言ってニコッと笑う。 初夜って、結婚した人たちが迎える初めての夜ってことだよね? それは俺たちにも当てはまるのか? 「……なんか、違う気がする……」 「違わないよ。一緒に住む初めての夜なんだから」 ……そうなのか? いや、でも今までと変わらないし…… でもここに住むってことは確かだし……? あれ……?初夜ってことになるのか? 俺は訳が分からず、頭の中ではハテナマークが飛び交っていた。 そんな俺を秋哉がクスクスと笑う。 「そんな考え込まないでよ」 そう言ってチュッと俺の額にキスをする。 額、目元、耳、頬と次々にキスが落とされる。 最後に唇に触れる程度のキスをされた。 「俺が緋桜に触れたいだけだから」 そう言って笑う秋哉から、目が離せなかった。 「…っ…んっ…」 触れる程度にキスしてた秋哉が、今度は深いキスをしてくる。 舌を絡ませて、歯列をなぞる。 上顎を撫でられて、ゾクゾクする。 さっきまで初夜がどうのなんて考えてたのに、もう何も考えられない。 「…ふぅ……っ…」 秋哉はキスをしながら俺の耳に触れる。 耳を塞ぐように触るから、クチュッと舌を絡ませる音がダイレクトに聞こえて恥ずかしい。 「…っ…あっ……しゅ、や……耳、や……」 さわさわと触れる感触に体が震えた。

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