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第260話 体育祭

俺が秋哉のことに住むようになってしばらく、アパートの解約とかもすんでようやく落ち着いた。 それも束の間、今度は学校の方でバタバタとしていた。 「緋桜ごめん、こっちお願い!」 「中村!こっち頼む!」 「中村くん、こっちの書類お願いします」 「中村くん、こっちもお願い!」 四方から声が飛び交う。 俺は生徒会室と校舎を走り回っていた。 俺たちの学校は体育祭の時期を迎えていた。 っていってもまだ1ヶ月も先の話だけど、俺たち生徒会はその前からバタバタとしていた。 競技の選定 設営の手配 各クラスへの伝達 委員の選出 プログラム作成 備品の整理、確認 その他もろもろ それをほぼ生徒会だけで回していた。 「お疲れ、大丈夫?」 少し落ち着いて俺がうつ伏せていると、秋哉がそう聞いてくる。 秋哉は『はい』と言いながら飲み物の入ったカップを渡してきた。 俺はそれを受け取って一口飲んで息を吐いた。 「……疲れた」 俺がそう言うと、秋哉は少し困ったように笑った。 「だよね」 そういえば学校祭のときも秋哉はバタバタしてた。 その時は毎日のように来てた秋哉が忙しすぎて俺のところに来れなかった程。 俺はだた大変そうだなと思うくらいだった。 でも実際俺も生徒会に入って経験してみると、その仕事量は半端なかった。 まだ雑用くらいしか出来ない俺でも大変だと思うのに、秋哉や先輩たちはそれ以上の仕事量をこなしてる。 それは素直にすごいと思った。 「秋哉悪い、これの確認頼めるか?」 一息つこうとしてた秋哉が佐倉先輩に呼ばれる。 秋哉は飲み物を入れたカップをそのままにして先輩のところに走っていった。 俺は置きっぱなしになったカップを見つめる。 ……秋哉たちは休憩もまともに出来ないんだな。 俺は皆が『少し休憩したら』と声をかけてくれる。 いくら俺が大丈夫と言っても聞き入れて貰えないから、こうして座って飲み物を飲むくらいはしてるけど、正直申し訳ない。 もっと役に立てればいいんだけど。

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