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第262話

(秋哉side) 体育祭まであと2週間。 俺たち生徒会も大詰めに入っていた。 今日は各クラスから種目の出場者名簿が提出された。 「緋桜は何に出場するんだ?」 俺はパラパラと出場者名簿を見ながら聞く。 「100M走とリレー、あと障害物走?」 そう言う緋桜に、俺は手がピタッと止まった。 「……なにそれ?」 「え?」 俺の反応に緋桜はきょとんとする。 「俺、障害物走なんて知らないんだけど」 俺が見た種目リストには『障害物走』なんてなかった。 「え、えと…俺もよく分からないんだけど、クラスの人たちがこれだけはどうしても出てくれって……」 「どう言うことですか、これ!?」 俺はそう言って先輩の机に資料を叩きつける。 「何が?」 佐倉先輩は『言ってる意味が分からない』とでも言う顔をする。 「障害物走って何ですか?俺、知らないんですけど?」 「だって言ってないもん」 そう言って先輩は悪びれる様子もなくヘラッと笑う。 「…緋桜になにさせるつもりですか?」 緋桜は佐倉先輩の指示と言ってた。 絶対緋桜にとんでもない事をさせるつもりだ。 「それは当日のお楽しみだな」 そう言って先輩はニヤッと笑った。 俺のクラスの出場者を見ると、障害物走にもしっかりと出場者が記されていた。 一体いつ決めたんだ? 委員の奴に聞いてみると、俺が居ない間に決めてたらしい。 それも佐倉先輩の指示だ。 佐倉先輩が考えた競技だ。 まともな訳がない。 そう思って理事長にも中止を申し立ててみたけど、もう既に決定事項ってことで却下された。 俺は中止は無理でも阻止は出来ると思って、競技内容だけでも把握しようと自分のクラスはもちろん、緋桜のクラスや他の学年の人にも競技内容を聞いて回った。 結局クラスの連中に聞いても、教師に聞いても、競技内容は教えて貰えなかった。 クラスの連中は言ったら佐倉先輩に何されるかと怯えて口を割らないし、教師たちはただの障害物走でしょと詳細は知らないみたいだった。 緋桜に至っては、自分のことにも関わらず、よく分かってないみたいだった。 これだけ聞いても競技内容が分からないって、佐倉先輩はどれだけ周到に根回ししてるんだ? ……てか、佐倉先輩って何気にこの学校牛耳ってないか?

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