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第270話

(秋哉side) 歓声が沸き上がって何だと思って見てみると、緋桜がネコミミを着けてた。 どうやら最後に置いてあった箱の中に入ってたみたいだ。 緋桜は何の躊躇もなくそれを着ける。 もしかして先輩の狙いはこれか!? 最後の100Mくらいはただ走るだけ 走るだけなんだけど……… なに!?あのネコミミの破壊力!? おまけに、 『サービスで鳴き真似だけでも』 と一位でゴールした緋桜に放送委員が無茶振りをする。 『え、鳴き、真似?……にゃ……にゃあ?』 緋桜もその無茶振りに答える。 かっ!! 俺は思わずしゃがみ込んで顔を押さえた。 何あれ!?もう本当ヤバい!! ネコミミだけでもかなりの破壊力なのに、にゃあって!! あの放送委員なにしてくれてんの!? 「秋哉、俺に何か言うことあるか?」 上から佐倉先輩がそう言う。 すっごい、してやられた感! 先輩、今絶対ニヤついてる!! 悔しい!! 悔しいけど……… 「……………ありがとうございます」 「だから絶対喜ぶって言っただろ」 そう言って先輩は高らかに笑った。 もう本当嫌、この人! その後は戻って来た宮藤先輩と日向先輩にも散々弄られた。 しばらくして競技を終えた緋桜が戻ってくる。 「秋哉」 「……なんでまだ着けたままなの?」 戻って来た緋桜はまだネコミミを着けたままだった。 俺がそう言うと、緋桜は気付いたみたいで頭を触る。 「…忘れてた」 そう言って緋桜はネコミミを取った。 自分から言っといて何だけど、緋桜がネコミミを外してしまってちょっと残念。 写真だけでも撮っとけば良かった。 そう思って俺は少し後悔した。

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