274 / 452
第271話
(秋哉side)
「今日1日、お疲れー!!」
「お疲れ様でした!!」
佐倉先輩の音頭で皆が乾杯する。
体育祭も無事に終わり、俺たちは生徒会室で打ち上げをしていた。
結果、俺たち生徒会役員が出た種目は皆一位を取ってた。
俺はそれなりに自信あったし、先輩たちも運動神経は良いから。
でも一番話題に上がってたのは、やっぱり緋桜のネコミミだった。
障害物走では他の生徒もウサギとか犬とかのミミを着けてたのに話題にすら上がってない。
それもちょっと可哀想な気がする。
まぁ、緋桜のネコミミに完全に撃沈された俺が言える立場じゃないけど………
「そういえば緋桜、こっちに参加して良かったの?」
緋桜にそう聞くと、緋桜はキョトンとする。
「せっかく優さんも来てたのに、二人の所に行かなくて良かったの?」
緋桜は体育祭が終わった後、普通に生徒会の打ち上げに参加してた。
せっかく両親が来てくれてるんだからそっちに行っても良かったのに。
「……父さんが仕事が入ったって途中で帰ったんだ」
そう言って緋桜は俺に、そう知らせるゆかりさんからのメールを見せてきた。
「え、そうなの?もしかして全部見れなかった?」
そう聞くと、緋桜は首を振った。
「帰ったのちょっと前だから大丈夫だと思う」
「そっか」
優さんとはもう少し話をしてみたかったから残念だけど、二人とも楽しんでくれたなら良かった。
「緋桜は楽しかった?」
そう聞くと、緋桜は少し考えて小さく頷いた。
「俺、こういうの初めてだから不安だったけど、楽しかった」
そう言って緋桜は微笑んだ。
「緋桜、大活躍だったよね。先輩が生徒会入ってなかったら部活の勧誘が来るんじゃないかって言ってたよ」
「……それはやだ」
少しムスッとしながら言う緋桜に俺は思わず笑ってしまった。
こうして、俺たちの初めての体育祭は終わった。
ちなみに緋桜のネコミミ姿の写真は、その日の夜にゆかりさんから興奮気味なメールと共に大量に送られてきた。
ともだちにシェアしよう!