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第279話

(秋哉side) 部屋に荷物を置いて少し休憩すると、俺と緋桜はホテルの前の浜辺に来ていた。 ここはホテルのプライベートビーチになってる。 ホテルの宿泊客なら誰でも利用出来るビーチだ。 今はシーズンオフってのもあって、人は居なかった。 俺たちは浜辺をゆっくり歩いた。 「初めての海はどう?」 そう聞くと、緋桜は海を眺める。 今は夕陽が海を照らして赤く染まってる。 「昼間もそうだけど、今もキレイ」 そう言って緋桜は微笑んだ。 「昼間は真っ青だったのに、今は全然違う」 緋桜は目を細めて言う。 「朝の海はまた違うよ」 俺がそう言うと、緋桜の目が輝いた。 「本当?」 「明日の朝、来てみる?」 そう言うと緋桜は頷いた。 「……俺、来て良かった」 緋桜は海を眺めながらそう呟く。 「最初は不安だったけど、今は楽しい」 そう言って緋桜は笑った。 「緋桜が楽しんでくれたら良かった」 『でも』と俺は続けた。 「今日だけで満足してちゃダメだよ」 俺がそう言うと、緋桜はきょとんとする。 俺はそんな緋桜を見て思わず笑みか溢れた。 「これからもっと色んな事をするんだからね」 「……色んな事?」 「ん~、例えば………」 その時、遠くから俺たちを呼ぶ声が聞こえた。 声の方を見ると、先輩たちが走って来ていた。 「まずは先輩たちの相手かな」

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