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第280話
(佐倉side)
※先輩たちのイタズラ大作戦
いきなり秋哉が旅行に行こうと言い出した。
俺たちはすぐに『行く』と返事をした。
それに俺たちを誘った理由を聞いたら断れない。
秋哉幹事の旅行なら、さぞ豪華なんだろうなと思った。
けど、飛行機はエコノミーだった。
秋哉に聞いたら『一時間程度でファーストには乗らない』と返ってきた。
ちょっとガッカリしたけど、ホテルはスイートで、それには驚いた。
テレビとかでは見たことあるけど、実際目の当たりにすると部屋の広さと豪華さに圧倒された。
でもそれを平然と受け入れてる中村にも驚いた。
中村いわく『秋哉の家みたい』だそうだ。
俺たちはその言葉に妙に納得してしまった。
秋哉から旅行の話を聞いたとき、ただ単に泊まって遊ぶだけじゃ面白くないってことで、あの2人に何か仕掛けようって話になった。
今、秋哉と中村が海に行っていて部屋にはいない。
絶好のチャンスと思って、残った俺たちは作戦会議の真っ最中だった。
「で、どうする?」
「ここはお決まりの寝起きドッキリじゃない?」
と翠は言う。
「……翠、それ古いよ」
朱春が呆れたように言った。
「え~、だって2人の寝顔見てみたいんだもん!」
『で、2人の寝顔撮るの!』と翠は持参のデジカメを手に意気込んだ。
翠は写真を撮ることが趣味で常にデジカメを持ち歩いてる。
普通に撮ったのもあるが、その殆どが隠し撮りに近いものばかりだ。
今回の旅行の写真も既に大量にデジカメに保存されてる。
その半分は秋哉と中村のイチャイチャ写真だったりする。
「分かった。じゃあ寝起きドッキリはするとして、他何かないか?」
『寝起きドッキリだけじゃイマイチだろ』と言うと、2人は考え出す。
「………肝試し?」
と朱春がボソッと呟く。
「リゾート地で肝試しって……てか今時期じゃないし」
そう言うと、朱春は『だよね』と言って笑っていた。
結局これといって思い付かず、寝起きドッキリだけになってしまった。
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