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第290話

その後はショッピングモールでそのままご飯を食べてホテルに戻った。 俺は買ってきたお土産を潰れないようにカバンに入れる。 ふと皆でお揃いで買ったストラップを手に取った。 皆とお揃い。 俺はそれだけで嬉しかった。 これどこに着ければいいのかな。 でも着けたら汚れるから仕舞っといた方がいいのかな。 後で聞いてみようと思って、俺はストラップをカバンに仕舞うとリビングに戻った。 「あっ、中村くん!見て見て!早速着けちゃった!」 と宮藤先輩があのストラップを着けたデジカメを見せてくる。 「俺も着けたぞ」 「俺もです」 と佐倉先輩と日向先輩もストラップを着けたカバンを見せてきた。 俺は秋哉の袖を引っ張った。 「どうした?」 「……あれって、俺も着けた方がいいの?」 そう聞くと、秋哉はきょとんとした後クスクスと笑った。 「せっかくのお揃いなんだから着けないと勿体無いよ」 秋哉は『俺も着けたよ』と言って、ストラップの着いた携帯を見せてきた。 それを見て、俺もカバンに入れたストラップを持ってくると急いで携帯に着けた。 それを秋哉に見せると、秋哉はニコッと笑った。 皆の持ち物に同じストラップが着いていて、その中に俺も入ってることがすごく不思議な感じがした。 「さぁ、そろそろ寝るか」 佐倉先輩がグーっと体を伸ばしながらそう言う。 「もう余計なことはしないで、大人しく寝てくださいね!」 とベッドルームに向かおうとする先輩に注意した。 「分かってるって!」 そう言って先輩はニッと笑う。 そんな先輩に秋哉もため息をついてた。 先輩たちを見送った後、俺たちもベッドルームに向かった。 「緋桜、明日は少し早起きしようか」 携帯に着けたストラップを触ってると、秋哉がそう言ってくる。 「海からの日の出、見ようよ」 海からの日の出。 それがどんななのかは分からないけど。 「見てみたい」 俺がそう言うと、秋哉がニコッと笑う。 「じゃあ、寝坊しないようにしないとね」 そう言って秋哉はベッドに座ると両手を広げた。 その意味は分かる。 俺は迷わずその腕の中に飛び込んだ。

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