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第291話
朝、俺は予定より早く目が覚めた。
日が出るのは6時半くらいだから6時くらいに準備して行こうかと秋哉が言ってた。
今は、まだ5時半前。
外はまだ暗い、秋哉もまだ寝てる。
俺はカーテンを開けて外を見た。
うっすら明るくなっては来てるけど、まだ何も見えない。
晴れてるのか曇ってるのかも分からない。
日の出、きれいに見えるかな。
そんな事を考えていると、突然後ろから抱き締められた。
少し驚いて後ろを見ると、秋哉がすり寄ってくる。
「おはよう」
そう言ってギュッと抱き締められる。
「早いね」
「……目が覚めた」
そう言うと、秋哉はクスクスと笑う。
「楽しみだったの?」
そう言われて、少し恥ずかしい。
楽しみで早く目が覚めるって……
なんか俺、子供みたいだ。
秋哉はそんな俺を見てクスクスと笑い続けた。
「まだ早いけど、海に行く?」
「行きたい」
俺がそう言うと、秋哉は『分かった』と言って頷いた。
先輩たちはまだ寝てるみたいで、俺たちは着替えて準備を済ませると、そっと部屋を出た。
ホテルのロビーまで来ると、秋哉が『ちょっと待ってて』と言って同じ階にある売店に入っていった。
秋哉が戻ってくるのを待って外に出ると、さっきよりは明るくなってきてるものの、やっぱりまだ暗い。
ホテルから海までは道が整えられてるから、ホテルの敷地から出ることなく行ける。
ビーチまで出ると俺たちは設置してあるベンチに座った。
朝の海ってちょっと寒い。
そう思って、俺は腕を摩る。
上着、着てくれば良かったかな。
そんな事を考えていると、肩に何かがフワッと掛けられる。
「寒いからそれ着てて」
そう言って秋哉がニコッと笑う。
見るとブランケットが掛けられていた。
「……ありがとう」
「あと…はいこれ」
そう言いながら秋哉は売店で買ってきた物が入ってる袋をガサガサとすると、その中から缶コーヒーを取り出して渡してきた。
受け取ると手がホワッと温かくなる。
「……温かい」
そう言って俺は頬に缶コーヒーを当てた。
俺は秋哉にくっつくと、海を眺めながら朝日が出るのを待った。
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