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第302話
(秋哉side)
緋桜が『これで仲直りできた?』と不安そうに聞いてきて、思わず笑ってしまった。
別に喧嘩してたつもりはなかったんだけどな。
まぁでも、仲直り出来てホッとした。
その後は緋桜と喋りつつ、帰り支度をしてると、コンコンとノックされる。
「そろそろチェックアウトの時間だぞ」
俺が返事をすると、そう佐倉先輩の声が聞こえてきた。
ドアを開けなかったのは、先輩なりに気を使ったみたいだ。
先輩たちにも色々心配掛けたから後で謝らなきゃと思いながら、俺たちは急いで支度を済ませた。
荷物を持ってリビングに行くと、既に先輩たちが待ってた。
「お待たせしました」
そう言うと、佐倉先輩が『大丈夫』と返してきた。
「で、お前らは話せたのか?」
そう聞かれて、俺と緋桜は顔を見合わせた。
「もう大丈夫です」
俺がそう答えると、先輩たちはホッとした顔をした。
「すいません、心配掛けました」
「本当だよ、まぁでも、仲直り出来て良かったんじゃないか」
そう言って佐倉先輩はニッと笑った。
その後俺たちはチェックアウトを済ませると、この後どうするって話になった。
本当は早めにホテルを出て、飛行機の時間までもう少し見て回る予定だった。
俺たちのせいで大幅に予定が狂ってしまって、あまり見る余裕がない。
「飛行機の時間って何時だっけ?」
と佐倉先輩が言う。
「5時」
と日向先輩が答えた。
「4時前には空港に着いてなきゃダメよね」
と宮藤先輩が言う。
話し合いの結果、どこかに寄ることはせずに、空港に向かいがてら見ようってことになった。
ただ先輩たちが飛行機の話をしてる最中、緋桜がしかめっ面になってて、俺は思わず笑ってしまった。
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