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第306話 あの人の正体

秋休みも終わって、また学校が始まった。 俺たち生徒会も冬休みに向けて大忙しだ。 でもそんな事より、俺は気になる事があった。 ここのところ、秋哉の様子がおかしいような気がする。 どこがと言われると困るけど、何となく心此処に在らずっていうのか。 昨日先輩たちが秋哉の家に来て、皆で宮藤先輩の撮った旅行の写真を見た。 多分秋哉の様子がおかしくなったのは、宮藤先輩のデジカメにある写真を見てから。 俺は何が写ってたのかちゃんと見てなかったから分からないけど、その後秋哉は宮藤先輩にデジカメを借りて佐々木さんのところに行って何か話してたみたいだ。 部屋に戻ってきた時の秋哉は、少し思い詰めた顔をしてたような気がした。 「……秋哉、何かあった?」 俺の気のせいかも知れないけど、何かあるなら教えて欲しい。 そう思って聞いてみた。 「別に何もないよ」 そう言って秋哉はいつもと変わらない笑顔を向ける。 「……そう」 やっぱり俺の気のせいだったのかな。 この時はそう思ってた。 それから1週間経って、やっぱり秋哉の様子がおかしくて、よく誰かと電話してたり、一人で出掛けたり。 「なぁ最近秋哉、何かあった?」 と佐倉先輩が聞いてくる。 先輩たちも秋哉の様子がおかしいのに気付いてる。 「……俺もよく分からなくて」 そう言って俺は視線を下に向けた。 俺と一緒に居る時は、何も変わらないように見える。 でも俺が居ないときに何かしてるみたいだった。 秋哉は一体何をしてるんだろう。 そう思ってると、佐倉先輩が俺の頭に手を置いた。 「そんなに心配しなくても秋哉の事だから大丈夫だろ」 そう言って笑ってくれる先輩に、俺は頷くだけだった。 秋哉は俺に何も言ってくれない。 何で秋哉は何も教えてくれないんだろう。 俺に出来ることなら、力になりたいって思ってるのに。 やっぱり俺じゃ、秋哉の力にはなれないのかな。

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