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第308話

(秋哉side) あれから1週間が経って、俺は何度もあいつに連絡をしてみたけど、案の定繋がらない。 正確には俺からの連絡を通さないようにしてる。 佐々木の方も当間さんと連絡が取れないみたいだ。 まぁ、それは予想出来てた。 問題はあの人がどう動くかだ。 多分、あの人は緋桜に興味を持ってる。 あの人は緋桜に何するか分からない。 これ以上の接触は避けたい。 取り敢えずは…… 「緋桜、しばらくの間は一人での行動は避けて?」 生徒会室で先輩たちが来るのを待ってる間、緋桜にそう言うと、緋桜は途端に不安そうな顔をする。 「……何かあった?」 「…ちょっとね。でも大丈夫だよ、緋桜は心配しないで」 そう言うと、緋桜は俯いてしまう。 「緋桜?」 「………秋哉が、ここ最近何かしてるのは知ってる」 そう言うと、緋桜は俺を見る。 「俺には言えないこと?」 「そういう訳じゃ……」 「俺が、何も出来ないのは分かってる、俺に言ったって意味ないって…… でも何かあるなら言って欲しい、何も出来ないかも知れないけど…秋哉の力になりたい」 そう言って俺を見つめる緋桜の目には若干涙が滲んでる。 緋桜には言っておいた方がいいのかもしれない。 でもこれは 「ごめん、これは俺の問題だから、俺が何とかしなきゃいけない」 そう言うと、緋桜は俯いてしまった。 「………分かった」 緋桜はそう言って立ち上がると、俺の横をすり抜けていった。 俺は生徒会室を出てく緋桜を止める事が出来なかった。 緋桜と入れ違いで先輩たちが入ってきた。 「なぁ、今中村が出てったんだけど、なんか泣きそうな顔してたけど、お前らまた何かあった?」 佐倉先輩がそう聞いてくる。 俺はそれに答える事が出来なかった。 そんな俺に先輩はため息をつく。 「お前が何してるかは知らないけど、中村にもちゃんと話してやれ。お前が黙ってると、中村も不安になる」 『お前が中村を不安にさせてどうする』と先輩に言われた。 確かにそうだと思う。 ただ、俺の問題に緋桜を巻き込みたくなかった。

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