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第309話

分かってた。 俺なんかが何の役にも立てないって。 ただ秋哉に『これは俺の問題だから』と言われた時、分かってはいてもすごく悲しかった。 俺は堪らなくなって、生徒会室を飛び出してしまった。 俺は教室で一人、ため息をついた。 そういえば生徒会室を出て時に先輩たちが居たけど、余裕がなくて何も言えなかった。 ふと先輩たちとすれ違ったことを思い出す。 ……戻らないと、皆に迷惑掛けるな。 そう思いつつも、なかなか動けないでいた。 今は秋哉と顔を合わせても普通に出来る自信がない。 今日だけ、帰らせてもらおうかな…… 考えた末、そう結論出した。 あ、荷物、生徒会室に置きっぱなし…… どうしよう。 でも携帯と財布は持ってるから、荷物は明日まで生徒会室に置かせてもらおうかな。 そう思って俺は、佐倉先輩にメールをした。 秋哉には……… 俺は秋哉にも帰る事を伝えようとしたけど、何となくメールを送ることを止めた。 教室を出ようとした時、ふと『しばらく一人での行動は避けて』という秋哉の言葉を思い出した。 佐々木さんに連絡して迎えに…… そう思ったけど、俺はそれを思い止まった。 俺の自分勝手な我が儘に佐々木さんを呼ぶのは気が引けた。 俺は一人で歩いて帰ろうと思って教室を出た。 「中村 緋桜くん、ですね?」 学校を出てしばらく、男の人に声を掛けられた。

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