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第312話
ふと目を覚ますと、そこは見たことのない部屋だった。
………ここ、どこ?
俺、どうしたんだっけ?
俺は必死に思い出す。
確か、学校を出たところで男の人に声を掛けられて………
そこから記憶が曖昧になってる。
俺は部屋を見回した。
ローテーブルに革張りのソファ。
その奥には大きめのデスクが置いてある。
……なんか、前にテレビで見た会社とかの偉い人の部屋みたい。
そう思ってキョロキョロしてると、突然カチャっと音がしてドアが開いた。
その音で思わず体が揺れる。
「あぁ、起きてたんだね」
そう声がして、俺は恐る恐る声の方を見た。
入り口の所に男の人が二人立ってて、一人はさっき俺にそう声を掛けてきた人。
俺はもう一人の方を見て驚いた。
「……あなたは旅行の時の」
「また会えたね」
そう言ってその人は笑う。
「手荒な真似をして申し訳なかったね」
その人はそう言いながら、デスクに座る。
もう一人の人もそれに着いてデスクの横に立った。
「全く、確かに連れてきてとは頼んだけど、眠らせるなんてもう少し方法は無かったの?」
その人は呆れたように言う。
「これが一番効率が良かったので」
と横に立ってた男の人がしれっと言う。
……何なんだろう、この人たち。
でもどうしよう、逃げた方がいいのかな。
そう思って、俺はチラッとドアを見る。
「あぁ、そういえば自己紹介がまだだったね」
逃げようかどうしようか考えてた俺に気付いたのか、その人がそう言ってニコッと笑う。
「私は木崎 浩一。こっちは当間 伊織だよ」
『よろしく』と言ってその人は笑う。
「…………木崎?」
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