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第331話

「蒼、遅かったな」 「まぁ、色々あってね」 と佐倉先輩が叔父さんと話始める。 ………この人が佐倉先輩の叔父さん。 どこか雰囲気が先輩に似てる気がする。 そう思いながら見てると、その人と目が合って思わず秋哉の影に隠れてしまった。 それを見ていたその人は先輩に何か耳打ちする。 「中村、こっち」 叔父さんから何か言われた先輩はチョイチョイと手招きしながら俺を呼んだ。 先輩に呼ばれてるから行った方が良いんだけど、俺はなかなか動く事が出来なかった。 どうしようと思ってると、秋哉に引っ張り出される。 思わず秋哉の顔を見ると、秋哉は微笑んで『大丈夫』と口だけを動かして言った。 その後秋哉に背中を押されて、その反動で前に出る。 そんな俺を、今度は先輩が腕を掴んで引っ張った。 「ほら中村、大丈夫だから」 そう言って俺の腕を引っ張る先輩に、俺はされるがまま前に進んだ。 「こんにちは」 秋哉と先輩によって先輩の叔父さんの前に出された俺に、その人はニコッと笑って挨拶をしてくる。 「…ぁ……こん、にちは」 「俺は蒼の叔父でここのマスターの高橋 一真です」 『よろしく』と言って高橋さんは手を差し出す。 「…えと……中村 緋桜です……よろしく、お願いします」 俺は躊躇しながらも高橋さんの手を取った。 俺が握手をしたことで高橋さんは嬉しそうにニコッと笑う。 その笑顔を見て緊張が少しだけ和らいだ気がした。 「緋桜くん……あ、緋桜くんって呼んでも良いかな?」 そう聞かれて俺は頷いた。 それを見て高橋さんはまたニコッと笑う。 「じゃあ緋桜くん、奥で少し話をしようか」 そう言われて頷く。 「それじゃこっちに来てくれる?」 そう言われて、俺は奥の部屋に案内された。

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