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第334話
高橋さんに少し話をしようと言われて案内されたのは店の奥にある部屋。
そんなに広くはないけど、ロッカーと小さめのテーブルが置いてある。
ここ、スタッフルームってやつかな?
俺は初めて入ったスタッフルームが珍しくて、思わずキョロキョロと見回してしまう。
「どうぞ、座って」
キョロキョロと見回していると、高橋さんに座るように促された。
そんな俺を見て高橋さんはクスクスと笑っていて、俺は恥ずかしくなって俯いてしまった。
何となく言われるまま着いてきちゃったけど、本当に大丈夫かな。
そう思って、俺は無意識に扉の方を見る。
「俺と二人は不安?」
高橋さんにそう言われて、俺が高橋さんを見ると、高橋さんはニコッと笑う。
「蒼から君の事は少し聞いていてるよ。極度の人見知りに、人付き合いが苦手って」
「…ぁ……すいません…」
そう言って更に俯いてしまう俺に、高橋さんはクスクスと笑う。
「責めてるわけじゃないから謝らなくて良いよ。俺とが不安なら二人を呼んでも良いよ?」
そう言われて、俺は首を振った。
「……大丈夫、です」
俺がそう言うと、高橋さんはニコッと笑う。
「じゃあ、座って」
高橋さんにもう一度座るように促されて、俺は今度は素直にそれに従った。
俺が椅子に座ると、目の前にコーヒーの入ったカップが置かれる。
「この店自慢のブレンド。良かったら飲んでみて」
そう言われて、俺は少し躊躇しながらも一口飲んだ。
「……美味しい」
「良かった」
そう言って高橋さんは笑った。
高橋さんは不思議だ。
いつもなら初めて会う人には緊張で不安になったりするのに、高橋さんにはあまりそれを感じない。
それどころか、最初より落ち着いてる気がする。
何でだろう、先輩に似てるからかな?
その後はしばらく二人で話をした。
バイトの事を話すのかなと思ってたけど、それはほんの少しだけで、殆どが学校の事だったり、日常の事を話していた。
高橋さんとの話は、先輩が小さい時の話とかも聞けて面白かった。
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