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第335話

(秋哉side) 緋桜と高橋さんが奥に入っていって20分くらい経った。 その間、先輩は勝手にコーヒーを入れ始めていた。 「良いんですか、勝手に使って」 「大丈夫大丈夫、いつもの事だから」 どうやらいつもの勝手に入れてるらしい。 俺はその様子をカウンターに座って眺めていた。 先輩はよくここに来るのかな? コーヒーを入れる姿が様になってる。 先輩はコーヒーを入れ終えるとカップを2つ手に持って戻ってきた。 「ほら」 そう言って俺の前にカップを置く。 「……ありがとうございます」 出されたはいいけど、本当に飲んでいいのか? そう思ってチラッと先輩を見ると、先輩は何食わぬ顔で入れたコーヒーの飲んでた。 俺もそれに習って一口飲んでみた。 「……美味しいですね」 「だろ?この店自慢のブレンドだからな」 そう言って先輩はニカッと笑う。 そんな事をしてるうちに、緋桜と高橋さんが奥から出てきた。 最初は緊張してた緋桜も、今はいつも通りになってる。 高橋さんのことを平気になったみたいだ。 緋桜が初日で慣れるなんて、すごいな先輩の叔父さん。 そんな事を考えていると、俺を見つけた緋桜が駆け寄ってきた。 「お疲れ様」 そう言うと緋桜はコクンと頷く。 その後、緋桜が何かじっと見てることに気付いた。 その視線を追っていくと、コーヒーの入ったカップに辿り着いた。 「あぁ、待ってる間に先輩が入れてくれたんだよ」 「そのコーヒー、俺も高橋さんに入れてもらった」 「美味しいよね」 そう言うと、緋桜は頷いた。 「高橋さんとは何話したの?」 「先輩の小さい時の話とかした」 「え、何それ!?俺も聞きたい!」 「面白かった」 そう言って緋桜は微笑む。 バイトの話してるのかと思ったら、先輩の小さい頃の話で盛り上がったみたいだ。 緋桜の話だと、バイトに関してはほんの少しだったらしい。 ちょっと拍子抜けだけど、緋桜が楽しかったならいいか。

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