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第353話
(秋哉side)
俺は落ち込んでる緋桜を車に連れていく。
車で待っていた佐々木も緋桜の様子を見てどうしたのかと聞いてきた。
ただ俺もまだ何も聞いてないから、佐々木には話すのを少し待ってもらった。
取り敢えず、緋桜を車に乗せて俺たちは家に帰ることにした。
家に帰る途中、緋桜はずっと俯いたままだった。
緋桜の様子から、青木と何かあったのは間違いない。
それを緋桜が話してくれるといいんだけど。
家に着くと、緋桜には先に部屋に行ってもらった。
「……緋桜くん、何があったんでしょう?」
キッチンで飲み物を用意いていると、佐々木がそう聞いてくる。
「分からない、高橋さんの話では青木に営業中に女子高生に絡まれてるところを助けてもらったらしくて、そのお礼に行ったらしいんだけど、その後からあんな状態だから多分青木と何かあったんだ」
「青木ってバイトで一緒の人ですよね?」
「うん、緋桜は青木に苦手意識があるらしいけど、ちゃんとお礼したかったんだって」
「緋桜くんらしいですね」
そう言って佐々木はクスッと笑う。
「そうだな、取り敢えず一度緋桜に話を聞いてみるよ」
「分かりました」
そう言って佐々木は頷いた
飲み物を持って部屋に行くと、緋桜がソファの上で体育座りをしている。
「はい」
俺はそんな緋桜に持ってきた飲み物を手渡した。
「……ありがと」
そう言って受け取ってくれるものの、緋桜はカップを手に持ってるだけで飲む気配はなかった。
「何があったの?」
そう聞くと、緋桜の体がピクンと揺れてゆっくりと俺を見た。
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