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第359話
俺は佐倉先輩と秋哉の注文のコーヒーを淹れる。
おまけに、宮藤先輩のカフェオレと日向先輩のココアも淹れることになった。
コーヒーは練習してるから手順は分かってるし、カフェオレの淹れ方もこの前教わった。
ココアは淹れる時になったら教えるよと高橋さんに言われた。
秋哉には味見としていつも飲んでもらってるけど、先輩たちは本当に俺が淹れたのでいいのかな?
やっぱり高橋さんが淹れた方が良いんじゃないかと思う。
そう思って高橋さんをチラッと見ると、高橋さんは宮藤先輩の注文のチョコレートパフェを作っていて、変わってくれそうもない。
やるしかないと思って、俺は深呼吸をして気合いを入れた。
今回は今までと違って4杯の飲み物を淹れなきゃいけないから、時間との勝負だ。
ちんたら淹れてたら全部冷めちゃう。
まず、コーヒーを淹れる為のお湯を沸かす。
それと同時に、カフェオレとココア用のミルクも温めておく。
お湯を沸かす間に道具を準備した。
今回はコーヒーを3杯淹れるからコーヒーサーバーを用意する。
ドリッパーにフィルターをセットして3杯分の粉を入れる。
そうしてる内にお湯が沸いた。
俺はお湯の入ったポットを手に取ると、粉の入ったフィルターにゆっくりと注いだ。
焦らずゆっくりと丁寧に。
それを心の中で唱える。
コーヒーを淹れ終えると、専用のカップを取り出して一つはココアの粉を入れて温めておいたミルクを注ぐ。
もう一つのカップにも2/3ミルクを注いだ。
それにさっき淹れたコーヒーをゆっくりと注ぐ。
他の二つのカップにはそのままコーヒーを注いだ。
俺は一通り淹れ終えて、ホッと息を吐いた。
「うん、上手く淹れられてるね」
丁度淹れ終えた時に、高橋さんにそう言われる。
「はいこれ、チョコレートパフェとチーズケーキ」
そう言って高橋さんはチョコレートパフェとチーズケーキをトレイに乗せる。
俺も淹れたコーヒーとココアをトレイに乗せた。
「ちょっと待って」
出来上がったものを先輩たちのところに持っていこうとすると、高橋さんに止められた。
「あとこれね」
そう言って高橋さんはチョコレートケーキと紅茶を同じトレイに乗せた。
「……これは?」
「せっかく皆が来てくれたんだから、緋桜くんも一緒にそれ食べておいで」
「…え、いやでも……」
まだ仕事中……
「大丈夫だから」
『ね?』と言って高橋さんは笑う。
「……ありがとう、ございます」
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