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第361話

ケーキを食べてお茶を飲んで、先輩たちと話していると閉店間際になった。 気が付くと、たくさんいたお客さんももう疎らになってる。 しまった、俺今日何もしてない。 「すいません、俺そろそろ戻ります」 俺がそう言うと、先輩たちも『俺たちも帰るか』と言った。 秋哉は俺と一緒に帰ると言って、終わりまで待つことになった。 「……サボってしまって、すいません」 「大丈夫だよ。ケーキを渡したのは俺だしね」 そう言って高橋さんは笑う。 でも働く為に来てるのに、申し訳ない。 「それに君たちのお陰でお客さんも増えたしね」 俺がそんな事を考えていると、高橋さんがそう言う。 ……どういう意味だろう? 「……高橋さん、俺たちを客引きに使わないでくださいよ」 高橋さんの言葉に秋哉がそう返して、俺は更に首を傾げた。 「緋桜くん、今日は練習どうするの?」 後片付けが一通り終わった頃、高橋さんがそう聞いてくる。 俺はそう聞かれて秋哉を見た。 それに気付いた秋哉が『好きにしていいよ』と言う。 俺はどうしようかと悩んだ。 今日はずっと秋哉に待っててもらってる。 これ以上待たせるのは悪いな。 「…今日は止めときます」 俺がそう言うと、高橋は『分かった』と言う。 「じゃあ、今日はもう上がっていいよ」 そう言って高橋さんが笑う。 「はい、お疲れ様です」 そう言って軽く頭を下げる。 頭を上げた時、スタッフルームに青木さんが入ってくのが見えた。 「秋哉ごめん、俺ちょっと青木さんと話してくる」 そう言って俺はスタッフルームに向かった。

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