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第365話

青木さんに見据えられて、体が動かなくなる。 ドクドクと心臓が脈打って、呼吸が苦しくなる。 ……何で……俺……青木さんにキス………? そう思った瞬間、体が震えた。 体に力が入らなくて、俺はその場に座り込んでしまう。 青木さんが何か言ってるみたいだけど、聞こえない。 聞きたくない。 考えれば考えるほど、呼吸が苦しくなる。 ………俺……秋哉以外と…… そう思った瞬間、俺の中で何かが壊れた気がした。 嫌だ…… 何で……? どんどん呼吸が苦しくなって、体が震える。 苦しいくらい心臓が脈打ってるのが分かる。 そんな時、突然視界に誰かの手が映った。 「嫌だっ!」 その手が誰のなのか分からない。 ただその手が怖くて。 もうこれ以上触れてほしくなくて。 俺はその手を振り払った。 苦しくて、怖くて、視界が歪む。 歪む視界の中で、最後に見たのは困惑した秋哉の顔だった。

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