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第366話
(秋哉side)
緋桜が青木と話すと言ってスタッフルームに入っていった。
高橋さんが緋桜が戻ってくるまで座って待ってると良いと言ってくれて、俺は言葉に甘えてカウンターに座った。
座ったは良いものの、緋桜が気になってついついスタッフルームの方に視線が向いてしまう。
俺としては正直あまり青木とは関わってほしくない。
初めて青木を見た時から気になってた。
いや、気付いてたって言った方があってるかもしれない。
青木は緋桜に特別な思いを持ってる。
ただ緋桜自身はそれに気付いてないし、緋桜は苦手意識はあるものの何とか青木と仲良くなりたいと思ってる。
多分、俺が言えば緋桜は青木と関わることを止める。
でもそれは緋桜の思いとは違う。
だから俺は緋桜を見守る事にした。
「緋桜くんが心配?」
そんな事を考えていると、高橋さんがそう言ってニコッと笑う。
「まぁ恋人が他の、それも気のある人と一緒は心配になるか」
そう言う高橋さんに、俺は少し驚いた。
「気付いてたんですね」
「気付くも何も、隠す気なんて無かったでしょ?」
そう言って高橋さんはクスクスと笑う。
「……そうですね」
高橋さんの言葉に、俺は思わず苦笑が漏れた。
高橋さんは俺たちの関係を知っても何も変わらない。
いや、高橋さんの事だから最初から気付いてたんだろうな。
知ってて緋桜を受け入れてくれたんだ。
高橋さんはやっぱり良いな。
そう思うと、俺は自然と笑っていた。
高橋さんとそんなやり取りをしていると、突然スタッフルームから大きい音が聞こえてきた。
俺と高橋さんはその音に、思わず顔を見合わせた。
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