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第378話

(佐々木side) 緋桜くんを病院に運ぶ時、ずっと懸念していた。 ずっと不安が付きまとっていた。 緋桜くんが目覚めた時、その不安は現実のものになった。 『再発』 多分秋哉も同じ不安を抱えていたと思う。 俺なんかよりも、もっと強く感じてたんじゃないかと思う。 もし再発したとしても、この二人なら大丈夫。 色々な困難を乗り越えてきた。 秋哉と緋桜くんなら、大丈夫と思っていた。 まさか緋桜くんが秋哉まで拒絶するとは思ってなかった。 病室から出てきた秋哉はひどい顔をしていた。 病室の扉が閉まる時に見えた緋桜くんも泣いてるように見えた。 秋哉も『外の空気の吸ってくる』と言ってどこかへ行ってしまった。 「佐々木さん、俺たちは今日は帰りますね」 高橋さんがそう言う。 こんな状況で話をするのは無理だ。 高橋さんもそれが分かったんだろう。 「……そうですね、何かあったらまた連絡させていただきます」 そう言うと、高橋さんは青木くんを連れて帰っていった。 青木くんも相当ショックだろう。 自分が原因だと分かってるから尚更だ。 二人を見送った後、緋桜くんの担当の医者から話があると言われて秋哉を探した。 外の空気を吸ってくると出ていってから結構な時間が経ってる。 秋哉の気持ちも分かるけど、さすがに少し心配になってくる。 外の空気を吸ってくるって言ってたから、多分外にいるんだろう。 病院の敷地内で一人になれる場所。 院内でそういう場所は限られてるから、秋哉を見つけるのにそんなに苦労はしなかった。 俺は秋哉を探して中庭まで来た。 ここは普段は入院患者とかが散歩をしたりして結構人が居るみたいだけど、今は暗くなってきてることもあって人が居なく静まりかえっていた。 この中庭の中央に大きい木が植えられてる。 その根本に人影を見つけた。 ここからはシルエットしか見えないけど、この時間にこんな人気のない場所で踞ってる人物なんてすぐに分かる。 近付くと秋哉は膝を抱えていた。

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