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第383話
(秋哉side)
次の日、朝一でゆかりさんと優さんが病院に来た。
「ゆかりさん、優さん」
病院の入り口で二人を呼ぶと二人が駆け寄ってくる。
「秋哉くん、緋桜は!?」
余程心配だったのか、二人とも表情が暗い。
「昨日話した通りです………すいません、こんなことになってしまって」
そう言って頭を下げると、ゆかりさんが俺の頬に触れた。
俺は少し驚いて顔を上げた。
「秋哉くんは大丈夫?」
昨日の電話の時、優さんにも聞かれた。
そう思って俺は優さんをチラッと見る。
……どうして皆同じ事を聞くんだろう。
「俺は大丈夫ですよ?」
そう答えるけど、ゆかりさんは『……そう』と言うだけで納得はしてないみたいだった。
俺たちはナースステーションに行って緋桜の担当医を呼んでもらった。
それは緋桜の事を二人に話してもらう為だ。
しばらく待つように言われて、俺たちは待ち合いのソファに腰掛けた。
「とりあえず、分かる範囲で話してくれるかい?」
と優さんが言う。
俺は分かる範囲で二人に話をした。
それと同時に二人に話してなかった今までの事も話した。
緋桜が元々対人恐怖症だったこと、襲われて接触恐怖症を発症した事。
それを聞いてゆかりさんは泣いてた。
「秋哉くんありがとう、今まで緋桜を支えててくれて。秋哉くんが居なかったら、俺たちも緋桜とこんな風にはなってなかった」
泣いてるゆかりさんを宥めながら、優さんが言う。
「……俺は何もしてないですよ」
そう今回だって、俺は何も出来なかった。
「それで、本当に秋哉くんは良いのかい?」
優さんにそう聞かれて俺は首を傾げる。
「昨日の話、本当に俺たちが緋桜を連れていっても大丈夫?」
「……今は俺が側に居るより、二人の方が緋桜には落ち着けると思います」
「しかし、緋桜が俺たちも拒否したら」
「それは大丈夫だと思います」
俺がそう言うと、優さんはため息を着いた。
「……分かった、とりあえず話をしてみよう。でも、俺たちは緋桜の意見を尊重するつもりだよ」
そう言う優さんに、俺は意味が分からなかったけどとりあえず頷いた。
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