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第384話 それぞれの思い

(秋哉side) しばらくすると、話をする準備が出来たと看護師が呼びにくる。 俺たちは看護師に案内されて別室に移動した。 別室に移動する前に佐々木が話は自分が聞いておくから緋桜の側にって言ってたけど、俺はそれを断った。 今の俺が緋桜の側に居たって何も出来ない。 むしろ緋桜の負担になってしまう。 緋桜に負担は掛けたくない。 先生の話は今の緋桜の状態と今後のケアについて。 もし改善が見られないようならカウンセリングも考えた方がいいと言っていた。 でも緋桜は元々人と話すのも苦手だから、カウンセリングで知らない人に話をするっていうのは難しい。 どうしたもんかと先生も悩んでいた。 一時間くらい先生と話して、俺たちは緋桜の病室に向かった。 緋桜の所に行くのは少し気が重い。 俺がこんなこと思うなんてな。 そう思うと苦笑が漏れた。 「秋哉、大丈夫か?なんなら休んでてもいい」 佐々木がそう言って覗き込んでくる。 どうして皆、昨日から同じ事ばかり聞くんだろう。 今は俺よりも緋桜の方が心配な筈なのに。 「俺は大丈夫だよ」 そう言うと、佐々木は息を吐く。 「何かあったらすぐに言えよ」 そう言って佐々木は俺の頭に手を置いた。 そういえば、さっきから佐々木がオフモードだ。 佐々木は仕事中とそれ以外をきっちり切り替えてる。 仕事中は俺に対して敬語で話す。 今日はそれがなかった。 でも今はそれが逆に有り難いと思う。 佐々木まで他人行儀なのは、少し辛い。 緋桜の病室に着くと、先にゆかりさんと優さんに入ってもらった。 俺が入って緋桜を怖がらせたくない、そう思った。

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