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第392話

(佐倉side) 俺たちが叔父さんの店に行った日の夜、叔父さんから中村が病院に運ばれたと連絡があった。 叔父さんの話では、青木が原因で中村が何かの発作に襲われたってことだ。 状況的に話を出来なかったらしく、叔父さんも詳しくは分からないらしい。 俺はそれを聞いて、何となく状況の把握は出来た。 中村が心配ではあったけど、今連絡しても繋がらないだろうと思ってその日は連絡しなかった。 秋哉が学校に来たら聞いてみようと思ってたけど、秋哉あれから学校にも来なかった。 いくら連絡しても返事はないし、叔父さんに聞いてみたら中村は実家に帰ったと聞いた。 最初の2、3日は仕方ないと思ってたけど、流石に1週間となるとちょっと…… 翠と朱春も一緒に行くと言ったけど、今回は俺一人で秋哉の所に行くことにした。 秋哉の家に着くと、佐々木さんが玄関口に出た。 佐々木さんは何で俺がここに来たかを瞬時に把握したみたいだった。 詳しいことは佐々木さんが教えてくれた。 俺は佐々木さんの話を聞くと、秋哉は部屋に向かった。 秋哉の部屋に入ると、秋哉は驚いた顔を向けてくる。 その時の秋哉の顔を見て、無性に腹が立った。 何となく想像はしていた。 でもここまで塞ぎ込んでるとは思わなかった。 秋哉の事だから何かしら行動に移してるものだと思ってた。 何故中村に会いに行かないか聞くと、資格が無いと返ってきた。 俺はそれにも腹が立った。 資格が無いなんて、それは本人が決めることじゃない。 相手が決めることでもない。 元々、誰かに会いたいって思うことに資格なんていらない。 その事を秋哉に気付かせたかった。 「……先輩、俺……」 ようやく気付いたみたいだな。 死んでた目に光が戻った。 「早く行ってやれ」 「すいません」 そう言いながら、秋哉はバタバタと準備をし始める。 「それは適切な言葉じゃないな」 そう言うと、秋哉は少し驚いた顔をした後クスッと笑った。 「ありがとうございます」 そう言って秋哉は部屋を出ていった。 本当、世話の掛かる後輩たちだな。

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