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第394話
(秋哉side)
緋桜の実家についてインターフォンを押すとゆかりさんが出てきた。
「秋哉くん!?」
「すいません、突然押し掛けてしまって」
そう言うと、ゆかりさんは首を振る。
「大丈夫よ」
そう言うゆかりさんはどこかホッとしたような表情を見せた。
ゆかりさんにもかなり心配掛けてしまってたみたいだ。
「緋桜と話せますか?」
「緋桜なら部屋に居るわ」
そう言ってゆかりさんはニコッと笑う。
「……緋桜の様子はどうですか?」
そう聞くと、さっきまで笑ってたゆかりさんの表情が曇る。
「元気……とは言えないかもしれないわね。この一週間部屋からは殆ど出ないし、ご飯もあまり食べないの」
「……そうですか」
「でも、秋哉くんが来てくれたからもう安心ね」
そう言ってゆかりさんの曇ってた表情が一変して明るくなる。
俺はそんなゆかりさんを見て胸が苦しくなった。
「………俺は緋桜から逃げたんです。緋桜に拒絶されるのが嫌で、自分が傷付くのが怖くて。緋桜の為だと言いながら、俺は自分の事しか考えてなかったんです」
そんな俺が本当に緋桜に会っても良いんだろうかと思う。
それでも今は、緋桜に会いたくて仕方ない。
「それは仕方のない事だと思うわ。誰だって拒絶されたくないし、傷付きたくない。それが大切な人なら尚更。でも秋哉くんはちゃんと戻ってきたでしょ?この一週間、一杯悩んだ筈よ。一杯悩んで、迷って……それでちゃんと答えは出たんでしょ?」
「……はい、緋桜を突き放しておいて勝手だとは思います。でも俺はこれからも緋桜と一緒に居たい」
そう言うと、ゆかりさんは笑った。
「親として、あの子を支えてあげられないのは情けない事だと思う。でも、今あの子が求めてるのは私たちじゃなくて貴方なの」
ゆかりさんは俺を真っ直ぐ見る。
「緋桜をよろしくお願いします」
そう言ってゆかりさんは頭を下げた。
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