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第401話
(秋哉side)
俺たちはゆかりさんと話をするために下に下りた。
ゆかりさんは俺たちを見て察したようで、優しく微笑んだ。
「ちゃんと話せたみたいね」
そう言ってゆかりさんは笑う。
「心配掛けてすいません」
そう言うと、ゆかりさんは首を振った後緋桜を見た。
ゆかりさんはそっと緋桜の頬に触れる。
「もう大丈夫ね」
ゆかりさんがそう言うと、緋桜は微笑んだ。
「うん」
緋桜の笑顔、久しぶりに見た気がする。
俺は緋桜の笑顔を見て、ホッと息を吐いた。
「ところで、秋哉くんはこの後はどうするの?」
「この後?」
「家に帰るの?」
そう言われて考える。
本当は一緒に緋桜を連れて帰るつもりだったけど、その場合、優さんにも話をしないと駄目だし。
そう思って俺は緋桜を見る。
緋桜は何かを察したのか、繋いでいた手をギュッと握って不安そうな表情を見せた。
「秋哉くん、今日は泊まっていきなさい」
どうしようかと悩んでいると、ゆかりさんが突然そう言った。
「え、でも……」
「うちの事は心配しなくて良いから、ね?」
そう言ってゆかりさんは笑う。
緋桜を見ると、緋桜もじっと俺を見てきた。
泊まるなんて考えても無かったし、そんな準備もしてなかったから迷ったけど、二人に見られたら断れる訳がない。
「……分かりました」
そう言うと、ゆかりさんの表情がパァと明るくなる。
「じゃあお夕飯張り切って作らなきゃ」
そう言ってゆかりさんはルンルンしながらキッチンに消えていった。
「緋桜、ちょっと佐々木の所に行ってくる」
「佐々木さん来てるの!?」
「泊まるつもりなんて無かったから、待っててもらってたんだ」
「……俺も、一緒に行っていい?」
緋桜がそう恐る恐る聞いてくる。
俺はそんな緋桜の頭に手を置いた。
「うん、一緒に行こう」
俺がそう言うと、緋桜は嬉しそうな表情をした。
ちなみに、出る前にゆかりさんにその事を伝えると、佐々木が居ることを知ってテンション上がったゆかりさんに『佐々木さんも連れてきて!』と頼まれた。
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