407 / 452
第403話
(秋哉side)
緋桜の実家に戻って佐々木が後で来ることをゆかりさんに伝えると、ゆかりさんはテンションMAXで料理に取りかかった。
30分くらい経つと、一度家に戻って荷物を持ってきた佐々木が来た。
佐々木は着くなり、夕飯の支度をしているゆかりさんを手伝うと言ってゆかりさんと一緒にキッチンに立っていた。
その間、ゆかりさんは幸せそうだった。
そうこうしてる内に優さんが帰って来て、キッチンに立つ二人を見て優さんは微妙な表情をしていた。
優さんに気付いたゆかりさんが一度声を掛けたけど、すぐに佐々木と一緒に作業に戻ってしまい、優さんはずっと複雑な表情をしていた。
俺は取り合えず、佐々木に代わって優さんに謝った。
その後は張り切り過ぎたゆかりさんの作った豪華な夕飯を皆で食べた。
しばらく皆でこれからの事を話した。
「……そうか、緋桜は秋哉くんと帰るんだね」
優さんがそう言うと、緋桜は小さく頷く。
「……秋哉には、まだちゃんと触れられないけど……それでも、秋哉の傍に居たいって思った」
俺はそう言って目を伏せる緋桜の手にそっと触れた。
その瞬間、緋桜の体がびくっと揺れて驚いた顔をして俺を見る。
でもそのすぐ後に緋桜は俺の手を握って微かに微笑んだ。
その微笑みに、俺も微笑み返した。
「緋桜が秋哉くんのところに帰ると聞いた時、正直心配だったけど、それは要らない心配だったみたいだね」
俺たちの様子を見て、優さんがそう言ってニコッと笑う。
その後、優さんの表情が真剣なものになって俺と佐々木に向けられた。
「秋哉くん、佐々木さん、緋桜のことよろしくお願いします」
そう言って優さんが頭を下げる。
俺と佐々木は思わず顔を見合わせた。
佐々木と顔を見合わせると、何となくお互い考えてるか分かって二人してフッと笑った。
「任せてください」
俺がそう言うと、優さんが顔を上げる。
「二人の事は私がしっかりサポートさせていただきます。どうぞ安心してください」
佐々木がそう言うと、優さんは安心したような表情を見せた。
ともだちにシェアしよう!