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第406話

あれから秋哉は俺の部屋を出ていったきり戻ってこなかった。 秋哉に押し倒された時、怖かったけど秋哉ならって思った。 そう思ったのに、やっぱり体は震えちゃって、そんな俺を見て秋哉は部屋を出ていってしまった。 そんな状態でも傍に居て欲しいって思ったのは俺の我が儘。 そんな事を考えてたら、上手く眠れなかった。 朝、俺はボーとしながらリビングに向かった。 「緋桜、おはよう」 リビングのドアを開けると、そう声を掛けられる。 見ると、秋哉がニコッと笑っていた。 秋哉が俺に寄ってくる。 「まだ眠そうだね。もしかして寝られなかった?」 そう言って秋哉が心配そうに顔を覗き込んできた。 昨日の夜は一緒に居られなかったのは寂しいと思う。 でもこうして朝、秋哉の顔が見られるのはやっぱり嬉しい。 「……大丈夫」 そう言って俺はそっと秋哉の手を触れた。 家に来てから俺に気を遣ってか、秋哉は俺にあまり触れてこない。 だから、俺から秋哉に触れていこうと思った。 いきなりは無理だけど、秋哉の言った通り、少しずつ。 秋哉の手に触れると、秋哉は一瞬驚いた顔をする。 それでも秋哉は俺の手を離そうとはせずにそっと握り返してくれた。 秋哉を見ると、秋哉はニコッと笑ってくれて、俺はそれだけで胸が温かくなった。

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